パツカロ　Ｐａｔｚｃｕａｒｏ、ツインツンツアン　Ｔｚｉｎｔｚｕｎｔｚａｎ

パツカロの野外市場で撮影していると、突然日本語で
「日本の方ですか」と声がした。外国人は全く居ないところなので吃驚して振り向くと、乳飲み子を抱いた２３，４歳くらいの可愛い顔の日本人女性が立っていた。私は
「そうですよ」と言うと、彼女はほっとしたように顔を紅潮させて
「家に来て泊って行って下さい」と彼女は哀願するうように言った。

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パツクァロ　野外市場

私は個人宅に泊るのは気を使うので、なるべく避けているが、この時ばかりは彼女のあまりの真剣な顔つきで、多少ノイローゼ気味になっていると判断して、我々夫婦でお邪魔することにした。
彼女の家は丘に続く未舗装赤土の道を登ったところにブロック造りの３０坪ほどの２階建で、綺麗な家だった。
彼女の夫は日本に研修に来ていた時知り合って結婚して、この地に来たが、全く日本人に逢う事がなく我々と話して嬉しそうだった。
夕方、夫が帰宅してカレーライスとワインで、日本の話を沢山した。
翌朝、夫は勤め先の役場へ先に出て行った。
暫らくして我々も辞することにしたが、彼女は
「もう一晩泊って行って下さい」と言われたが、先のスケジュールも有り丁重に礼をして出発したが、車のバックミラーをみると、一本道の家の前で手を振っているのが小さく見えたので車を止め、外に出て大声で
「おげんきで！」と叫んで手を振ったが声は聞こえ無かったろう。何時までも手を振っていた。
今でも彼女は如何しているかなと思う。